佐竹義重(よししげ) 伊達も北条も怖れた常陸の戦国大名 (PHP文庫)



佐竹義重(よししげ) 伊達も北条も怖れた常陸の戦国大名 (PHP文庫)
佐竹義重(よししげ) 伊達も北条も怖れた常陸の戦国大名 (PHP文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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戦国時代狂

佐竹義重とセットで拝読したがそれほどの感動作ではない。史実の参考文献が豊富で歴史研究書としてはよいかもしれないが、小説としては面白みがない。会話も継続性がなくこの著佐の特徴かもしれない。歴史小説119作品目の感想。
歴史小説として全然ダメ

一言で言うと、小説としてどうしようもなくつまらない。
関東中世史好きの評者にも、読み進めるのが苦痛で仕方がなかった。
迫力のない合戦場面。
義重は「左様の」と「おのれ○○め、裏切りおったか」の繰り返し。
人物に魅力なし。
語彙も少なく、同じ表現が頻出する。

逐一書簡の内容を現代語訳するほど細部の厳密さにこだわるが、一方でなぜ義重がこの城を攻めたのかなど、行動原理の分析・戦略的意義の解説は全く行われない。
全体の構図が全く見えて来ない。というか、おそらく著者にも見えていないのだろう。
北関東の主役

常陸半国に満たない領土から身を起こし、一心不乱に己の信ずる道を進んだ英雄。佐竹義重!
小大名佐竹氏が単独で動員出来たのはせいぜい四千。
しかし、二万を動員する後北条氏に、決して屈さない。
時には陣前に立ち、武勇を示す。
上杉謙信よりも、北関東の大名の信頼を勝ち得ていた。
彼のどこに他人をひきつけるだけの人間的魅力があったのか?
そこが、巧く表現されていれば本当に良作であったと思う。
常陸・下野・南陸奥に覇を唱え、北関東で看板の役目を果たした男の生涯。
私としては、彼の忍耐と自由自在の外交手腕に敬意を表したい。


隠居後の話も是非

新羅三郎義光から始まり、幕末まで名を残した数少ない大名家でありながら出版されたりメディアで言及されたりする事が極端に少ない佐竹家。
ここまでの伝統と歴史を誇るのは他には伊達家と島津家くらいの上、伊達家が守護に任ぜられたのは室町以降ですし、島津家も忠良(日新斎)以降は分家筋です。即ち、日本一の伝統を誇る家と言っても良いのではないでしょうか。資料の少なさが災いしてか世間の目に触れる機会が無かった佐竹家を主役とした小説を出版した事だけで十分評価に値すると思います。
かなりの下調べの跡が窺え、資料的価値も十分な一品です。
残念なのは義重隠居後の記述があまりにも少ない所。あとがきで原稿用紙三百枚程削除したと仰られておりますが、削除部分の殆どがここではないかと容易に推測出来ます。秀吉や三成との親交や、関ヶ原で西軍につくに至った経緯等書くべき事はまだまだ有ったと思うので、残念でなりません。
是非とも完全版を出版して頂きたいものです。
惜しい…

取り上げられることが極めて少ない戦国北関東を舞台にした歴史小説。
今更ながら近衛氏の探究心には頭が下がる。徹底した史実の検証に裏打ちされた自信に溢れる筆致には、吉村昭の後継者宣言をしているかのようである。
だが、待ってほしい。彼が『三郎景虎』や『北条戦国記』で描いた微妙な心理描写がここにはない。せっかくの数少ないドラマ部分である和田信為の屈折した心理の襞がここでは、全く描きこめていない。彼はこの作品で何を証明しようとしたのか、小説という形式にこだわる意味かあったのか、謎である。永井路子などがよくやるように、気分転換の意味で、伝記にしても良かったのではないだろうか。
また、『織田信忠』と同様、後記で、版元の要請によりかなりのページを削ったことが記されているが、いったん世に出た作品は、作家の責任の下に出されたものと読者は思っている。その責任を放棄したようなコメントは出さないでほしい。彼のファンとして一言申し添えたい。



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